まよっぷ 〜だめぽ人間の独り言〜



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てのひらのエネミー 神様家族 パラケルススの娘 ご愁傷さま二ノ宮くん スラムオンライン
円環少女 タイムリープ パラサイトムーン BLACK BLOOD BROTHERS ウィザーズ・ブレイン




 てのひらのエネミー
1巻
虐められっ子の冴えない少年が突然"魔王"の力を手に入れてしまう、という魔法物ラノベ。
魔王というなんとも陳腐な表現のせいか大して期待もしてなかったんだが、おお、結構面白いよ。

出だしから世界設定が気に入った。
魔法が絶対的なものとして世界を支配していた過去。そのなかでも突出した魔法使いだった『魔王』の存在。
それら歴史を異端として扱い、神の教えと機械の力を武器に勢力を拡大しつつある協会連合。などなど。
読み進めていくうちに少しずつ明かされていくこれら設定が非常に魅力的だった。

キャラクターもいいなぁ。素直すぎるお嬢様ダイアン、神を絶対とする軍人シーラ、
2番煎じを喜んでw甘んじる老魔法使いガリウス、他個性的使い魔5匹。そしてなんとも情けない主人公アウル。
どいつにも確たる個性があり、こちらもなんとも魅力的。

魔法関連の設定もしっかりしてるし、ストーリーも悪くなかった。
ただ戦闘物にしてはちょっと迫力に欠けはするかも。今のところ使い魔操るだけだもんなぁ。

いやあ、でもいい作品だよ。2巻も楽しみにしよう。


2巻
ノール編完結。うーん、心理描写が素晴らしい。。
主人公が迷いを振り切り立ち上がるまでの過程が段階を踏んで丁寧に描かれてる。
何言ってるのか良く分からないどっかの主人公と違って、非常に共感でき魅力がある。

他にもシーラ、ダイアン、ガリウス、と前巻と同じようにとにかくキャラクターがイイ。
どいつも変わってたり珍しかったりしているわけではなく、ごくありきたりな性格なのだが
それを深く掘り下げ、さらに物語に絡めることで作品に多大な魅力を与えている。

今巻は”意識の手”によるレイナーとの攻防戦が非常にアツかった。
ご都合に陥ることもなく、こちらが納得できる形で主人公の強さというものを表現できていた。

いやぁ、いい作品だよコレは。4巻で完結ってのがもったいないくらいだ。


3巻
やってきました、ツンデレヒロイン幼馴染属性強がり素直になれない系暴君お嬢様タイプ
か、可愛ぇ…。デブ敵に陵辱じみたことをされそうなときの怯えっぷりといったら…ビバ!ギャップ萌え

ぷにぷにした挿絵や魔王という安直な設定で、どーにもチープな作品に見がちだが、
ストーリー展開は良く練られているし、魔獣や魔王城・そして世界設定を上手く扱っている。
しかも今巻のラストでは主人公半死で味方はほぼ壊滅状態。あと1巻でどう終わらせるか見物。


4巻
…なんか打ち切りっぽいぞこれ_| ̄|○
展開が前3巻と比べて、かなりチグハグだし。ちょっとダメすぎるよ…



 神様家族
1巻
タイトルの通り、何でも出来る神様を家族に持つ少年に起きるドタバタラブコメな話。
とりあえず突飛な設定がまるで面白くない。なんつーかホントくだらないドタバタ止まり。
適当にそれっぽくエロとかギャグ入れたような作風がなんとも陳腐。

メインヒロインは実に分かりやすいツンデレで、色ネタに関してはホント良い反応を見せてくれるんだが、
作品全体に漂う不真面目さがその個性を台無しにしてる感がある。非常に勿体無いと思う。

ラストの急なひっくり返し展開も評価しかねる。
オリジナリティがとかは別にいいが、にじみ出る陳腐さをもう少しどうにかして欲しい。

ツンデレだけ引っ張り出してこの作品を読みたいが…無理だ、読み切り。


 パラケルススの娘
1巻
人に取り憑いた魔物を倒すみたいな話。
これはかなり酷い。歴代1位。GOSICK抜いた、30ページでノックアウト。
文章が最悪に読みづらく、1回のくどい台詞が4,5行以上に渡る。そして何より内容がツマらなすぎ。

相乗効果として絵にも魅力の欠片も感じられないし。バランス悪いよ。
ああ、苦痛だった。無理して最後まで読むこともないのに、ポリシー的に頑張って読み終えた俺に拍手。



 ご愁傷さま二ノ宮くん
1巻
男性の精を糧に生きるサキュバス・真由とツンデレお嬢様・麗華との間で
もみくちゃにされる哀れな硬派系主人公・二ノ宮くんの日々を描いたドタバタラブコメ。

とりあえず良い意味でも悪い意味でもドタバタ。萌えありエロありなんでもあり。
ヒロインは2人とも可愛いと思う。仕草や表情の描写がかなり丁寧でそこがまた萌えを誘う。
そして設定が設定なだけにエロいシーンが多い。まあ寸止めだけど_| ̄|○

不満点としては作中での兄・美樹彦と姉・涼子の影響力が大きすぎること。
何もかもがこの2人の手の上で起こっていることに思えてきて、素直に展開を楽しめない。
あと主人公の身長が185cmというのはちょっと高すぎな気がする、どうでもいいがw

まあこの類の小説は細かいこと気にしちゃいけない、萌えたもん勝ちだ。
もっとツンデレが活躍することを祈って次巻も読もう。


2巻
ドタバタラブコメ第2巻。今回はツンデレヒロインの過去、というか主人公に惚れる経緯を描く!
なんか、この著者ってそこまで実直な萌えを書いてるわけじゃないな。心の強さ弱さっていう側面が大きい。
単なる萌えのみで終わっていないのはイイことなんだが、逆にそのせいで素直に萌えられん…。

前巻と違って今巻はツンデレヒロイン・麗華が頑張っていたが、
メインの真由が主人公とくっ付くんだろうことは容易に予想でき、そう思うとなんだか悲しくなる。
世の中ツンツンデレデレと騒がれているが、やはり今でもメインを張っているのはオドオド系だよ。


 スラムオンライン
スラムオンライン
1巻完結作品。近年ブームかつ問題となっているネトゲーを題材とした作品。
廃人になりかけの主人公がヴァーチャルリアルにおける自分とはなんなのか、みたいなことを見出していく話。
ちょっとこのテーマが分かりづらい感じがした。自分はもっと直接的なものが好きなんだよなぁ…。
格ゲー風の戦闘は…なんとも楽しめないな。ゲーセンやらネトゲーやらを経験してればもう少し共感できたかも。

全体的に漂う雰囲気がダウンで、盛り上がりに欠けているのにちょっと物足りなさを感じてしまった。
ただその中で描写される主人公の悩みや葛藤みたいなものは上手く表現できていたと思う。

それにしてもこの著者・桜坂洋氏はAll Needといい、現代魔法といい、面白いことを題材に小説を書くなぁ。



 円環少女
円環少女
魔法バトルラノベ。とりあえず設定が多い。魔法を大別して<索引型>、<魔力型>
さらに類別して<円環>、<宣名>、<神音>、<再演>、<相似>、<錬金>、<魔獣使い> etc…

加えて例外扱いの主人公能力<沈黙>。案の定というか、読んで字の如し魔法無効化能力。
正確には魔法維持能力と言うべきなのだが、作中ではそう扱われてないからなぁ。
五感で捕らえた魔法をかたっぱしから消去するというあり得ないほどの反則能力なのだが、
消去の意味が、魔法×0ではなく、魔法−αt というのが特徴。言ってみれば削るという感じか。

他にも<気>、<影>、<観測者>、<媒介>、<対象>、<概念>と、よくここまでと思うほど設定ありまくり。
これら設定、最初はツボりまくって物凄いワクワクしながら読んでいたのだが、
後半に進むほど、納得できない流れがちらほらと。なんでもありな感じも強く、その点に関しては非常に残念だった。

割合的にも魔法設定が先行しがちな本作品だが、キャラクターはかなりイイ。
特に無口無表情キャラの瑞希が最高w なんだよこのボケキャラ、面白すぎw
くまの学校に通いたそうにしたり、難問から「距離をとった」り、チョップしたり。ああ、無表情いいよ無表情。

他にも信仰心満点の聖騎士エレオノール、大人になろうと足掻く少女メイゼルと誰彼もいい味出してた。
実際、魔法は二の次で、キャラの生き様を軸として読んだほうがずっといい作品になるな。

このラノベ、読み終わるのにシャナ1巻と同じかそれ以上の時間がかかった。
設定の多さもだが、それに加え文章が読みづらいのも原因か。
そこら辺をどうにかなることを祈って次巻期待。


2巻
魔法設定よりキャラの生き様がオイシイ、魔法バトルラノベ第2巻。
魔法の設定はやたら細かく作られてたりするんだけど、
それらを著者が使いこなせていないというか、こちらに伝え切れていないというか。

世界の不安定要素に魔法を見出すって発想はホント面白いと思うんだが、
所々こじ付けの感があるし、こちらに色々と考えさせる余地を与えてくれていないのがなぁ。
再演体系なんていまだに意味プーだし。

キャラクターは今回はメイゼルがいいね。
仲間に助けられた瞬間に絶望を覚えてしまう彼女の境遇は、読んでてめちゃくちゃ辛い。
ワンパまんねりと思わせてこういうことするんだから、著者も随分とオツなことしてくれるよ。

どうやら内容は2巻3巻の上下構成みたいだが、新登場のグレン強すぎ。どうすんのこれ。
三十六宮を2,3人呼ぶくらいしか倒す方法なくないか?あとは強くなったケイツがぶつかっていくとか?
これで主人公連中が倒しちゃうんじゃ萎えるな…


3巻
キャラはいい、戦闘は微妙、そんな能力バトルラノベ。
相変わらずこの作品はキャラは一級品だわ。前巻からの負け犬ケイツがもう最高。
兄グレンに劣等感を抱きまくって自身の存在意義すら失いそうになってる擦り切れっぷりはたまらんね。
ケイツ「人は皆、あの男ではなく、私にこそ”似ている”のだ
グレン「─祝福あれ。汝ら皆、我に……似たり
この兄弟の台詞が相似という魔法体系を通して、作品の舞台である”地獄”を如実に表しているのではないか。

主人公武原仁の元師匠・王子護もオイシイなぁ。
なんかもう9割方悪者なのに、口から出てくる台詞の師匠ッぷりがたまらんですよ。
ジンはもうおとなだから、ただ自分の向いてるほうをキレイだと思いこんで戦うだけでいいなんて、言ってられないデショ
金の亡者かと思わせてコレだもんな。もう最高。
過去ネタも用意してるみたいだし、今後に更なる期待がー。

他にもいっつも悩んでばっかの武原仁や、嫌味なヤツなのにたまにポロッとアツい言葉吐きやがるベルニッチや、
役立たずで「最後の魔法使い(??)」な倉本きずなや、悪鬼になりたかったネリンやと、もうどのキャラも味ありすぎ。
さらに深遊氏の美麗でカッコいい挿絵がそれを後押し。素晴らしいねこれは。

戦闘パートはなんとも。まあもうここらへんは妥協だ。妥協できる範囲だし。
ちなみに今巻で一番描きたかったことは『水着』だったらしい。いや、まあ確かに着てたけどさ…w
この著者の女の子の描写って、なんか艶かしさが漂いまくって凄くエロいよな。「腰で花開く胴の線」とかw


4巻
なんか今回はいつにも増して分かりづらい…。ぺース速めで読んでた俺も悪いんだが。
相も変わらず自虐の限りを尽くすに、そのペド教師をSっぽい哲学で愛するメイゼル
神意と憎しみに揺れるエレオノールに、夢を実現するためには力が必要なのデスな王子護
己が道を貫くその生き様は、そんじょそこらの人じゃ書けない凄み深みがある。これが長谷氏の魅力であり…欠点?
まあ、この読み取りづらい内容もその魅力に一役買っていると思うのだが…やっぱり何か勿体無い気がする。

戦闘スタイルがね、魔法消去という戦闘スタイルが特殊すぎるんだよ。
ただでも文章分かりづらいのに、さらにややこしい設定晒すからもう大変だよ。まあユニークで面白くはあるんだけど。

前回グレンの超人っぷりへの対比としては非常に上手いとは思うが、やっぱり魔法物でとか出てくるとガクッとなる。
でもそうだよなぁ、結局グレンと王子護は似た目的を持ちつつも全く対極の手段を講じているわけだな。
うーん、やっぱり王子護はすげぇ。そしてあらかじめ1巻から伏線張ってた長谷氏もすげぇ。でも読みづれぇ。


 タイムリープ
タイムリープ
第1回電撃ゲーム小説大賞「金賞」受賞作家、高畑京一郎の1巻完結作品。
意識のみが時間跳躍してしまう少女とそれを解決しようとする少年のSF恋愛物語。

主人公の少女・翔香は危険を感じるor安心を覚えることにより、意識が時間のパズルを埋めるようにリープしてしまう。
その原因は?そして脱出方法はあるのか?というのを通常時間上に存在する少年・和彦と共に解き明かしていく。

まず時間物では当然のたしなみかも知れないが、随所に散りばめられた伏線は絶妙。
最初読んでも分からない会話や現象も、時間跳躍によって少しずつ段階的に明らかになっていく。

また時間物よろしく、深く考えるとどうにも矛盾が出てきてしまうが、
表面的な設定は恐ろしく良く出来ている。シュレーディンガーの猫ってこういう場面で使うんだってちょっと感動した。

ラスト付近のオチがあっさり読めてしまったのは残念だったが、10年も前の作品と考えれば仕方のないことか。

この作品のなにより素晴らしいところはSF恋愛を上手に絡めているところだろう。
最後まで読んで初めて分かる序章の意味には、えも言われぬ感動を覚えた。
上で言った矛盾のひとつとは原因が自己ループしてしまうことなのだが、
この序章に関しては、それらを「運命」なんて言葉で片付けてしまいたくなるね。

とにもかくにも素晴らしい作品だった。
さすがはラノベの地盤を作った人の一人というべきか。他作品も読んでみるかねぇ。



 パラサイトムーン
1巻
著者借り。空ノ鐘の響く惑星での著者、渡瀬草一郎氏の作品。
伝奇風能力物ラノベとでも言えばいいか。それぞれ異能の力を持った人たちが戦ったり色々したりする話。

とりあえずこの作品、イラストで損してる。ぷにぷにした挿絵がまるで話のイメージと合致しない。
内容自体も伝奇物の流れに中途半端な能力バトルを差し込むから、全体的になんとも微妙な感じになってる。
空鐘は戦記と異能が絶妙にマッチしていたんだがなぁ…この作品には少し物足りなさを感じた。

感情の色が見えるという主人公の力は中々に面白い設定だとは思うのだが…次巻はひとまず保留。



  BLACK BLOOD BROTHERS
1巻
Dクラッカーズの著者:あざの耕平氏の作品。
人間と吸血鬼が共存する人口島:特区での吸血鬼の兄弟の物語。

Dクラが頭のいい話という印象が強かったが、今作品は実直な吸血鬼もの。
主人公のジローは超越した力を持つと同時に、銀、にんにく、太陽、流れる水…と吸血鬼の弱点も持ちまくり。
逆に弟のコタロウは弱点皆無、しかしそれはある運命によるものだった…みたいな話。

吸血鬼の設定がまず魅かれる。そしてキャラクターも個性がありイイ。
だが最初はDクラのようなジャンキーヤンキーな話を期待していたのでちょっと肩透かし食らった感じ。
特に戦闘に関しては比べると随分つまらないものになってしまっている気がする。
というかDクラの景ちゃんがカッコよすぎたってのもあるが。

まあ今後の展開次第かなぁ、というところ。次巻期待。


2巻
あざの耕平氏の吸血鬼物語第2巻。
1巻はなんとも微妙な印象が残っているが、今巻は良かった。
立場の違う様々なキャラをかなりの人数出し、その部分から今後の展開への期待を持たせてくれた。
まあ要はやっと序章に入ったという感じなんだがw

今巻はねェ、ミミコの強さに惚れたね。赤い血の、なんと強く、目映いことか。カッコいい〜
まあその代わり萌え分ゼロだけどな。Dクラは景ちゃんが萌えたんだがなぁw


3巻
今巻でやっと下準備というか、プロローグが終わった感じ。
この作品の楽しみ方は心得た。
人間吸血鬼の歩み寄り、そこに生まれる強さや優しさってのがたまらんのだわ。
特にジローとミミコの水中でのやりとりはヤバい。「まず、ここにあたしがいる」 もうすげぇカッコいい。

戦闘パートは能力が地味なだけに微妙なところだが、
龍王セイを頂点とした強さ設定は、今後になかなかの期待感を持たせてくれる。

1巻ではあやふやだった設定もろもろも見えてきたし、話はいよいよ面白くなってきた感じ。
まあ、予想通り次巻は短編集だったりするわけだが。


4巻
なんか読む順番間違えたっぽい。
出版順には3巻→短編集1巻→4巻だったらしいのが…まあ支障は無かったので良し。

ジローとアリスが出遭うまでの過去話なんだが…弱いね。
ストーリーはだらだらしてるし、2人が惹かれあうまでの描写は中途半端だし。
著者はこの巻を通して何を伝えようとしてるんだろ。吸血鬼の業次郎の変化? 弱い、実に弱いなぁ…。


S1巻
アニメ化してることだしまた読んでみた。短編集ってせいもあるが、これはまたなんともクオリティが低い…。
富士見ファンタジアといえば、風の聖痕のショートも酷くつまらなかったなぁ。
結局さ、ドラマガに載せるからよろー、って頼まれてテキトーに書いたような話なんだよ、きっと。
本編に絡むことの出来ない性質上、見劣りするのは必定だもんな。あとはおのずとギャグセンスが問われると。
せめて9Sみたいに過去話とか出し惜しみせずに描いてくれればずっと楽しいのにな。




  ウィザーズ・ブレイン
1巻
魔法バトルラノベ。なんか最近やたら魔法物を読んでいるような。
人類滅亡の危機に瀕した世界で闘う魔法士の物語。

この魔法の設定も面白いねぇ、「情報」の集合体である世界に干渉することで
運動係数、分子運動、空間曲率、光速度、プランク定数、万有引力定数等を限定的に改変し、
様々な奇跡を起こす。それを魔法といい、その者を魔法士という。
こういう設定は下手しなくとも「なんでもあり」な状態におちいりやすいのだが、
読んでいてそれを全く感じなかった、破綻も皆無。著者がいかに設定を使いこなしているかということが分かる。

圧縮、起動、演算、メモリ不足、強制終了…と脳をコンピュータのように使っているのがまたカッコよく、
単なるドンパチではない、圧倒的な計算能力による理論をまとった戦闘は相当にアツかった。

ストーリー構成は全体的にあまりよくなかった感じ。
魔法士同士2人で争っていたのに、突然現れた巨大生命体に2人協力して闘うってのはねぇ…。
ありきたりというより、恥ずかしいというか、なんかもうとにかく超展開だった。

なにより心理描写が弱いのが良くない。
行動の動機付けが曖昧で、展開の面白みもキャラの魅力も一気に薄れてしまった。

ヒロインもツンデレじゃなくオドオド系だし…
魔法の設定がいいだけに非常にもったいない感じだ、が。
まあ色々と期待を不安を胸に続読するかな。


2巻
面白れぇー!相変わらずラスボスはドデカい敵だったりするが、今回はストーリーが(・∀・)イイ!
大戦から取り残された研究施設に住む4人の「龍使い−自身の肉体を情報制御できる魔法士−」の物語。

やっぱいいねぇ、閉鎖空間は。孤立無援、黙された外の真実、繰り返す死と生、etc…
外部とリンクしてない時点でそこが一つの世界として成立しちゃうからな。もう謎と不思議がいっぱいですよ。

ヘイズの指パッチンは、オーバーロードの「虚無の領域」なら完全無敵だな。
こと防御と回避に限るが。
完全に1巻とは登場キャラが違ったわけだが、この一騎当千なヤツら全員集まったらどうなるんだww
もうワクワクしまくり。


3巻
前巻の「龍使い」に続いて、今巻は「光使い−時空制御に特化した魔法士−」の物語。
「悪魔使い」や「騎士」も含め、これら魔法士の設定はホント良く出来てるなって思う。
どの型も一長一短で、作中もそれら特徴を生かした描写が多い。

逆にキャラの動機付けは部分的に弱くて、そのせいで話全体に不安定さを感じてしまう。
しかもラスボスまたでかいし…展開も急な感じでよろしくない。

この作品3冊読んで感じたのは、どの内容も世界観同様に暗い側面を持ってるなぁってこと。
エンドは何かしらマイナスな要素を内包したまま終わる。それでいてしっかりまとまっているんだから好印象。
やっぱ作中で何度も出てくる歌『パーフェクト・ワールド』がこの作品を体現してるのかなぁって思った。


4巻上下
1巻の主人公・錬とソフィアと、2巻の主人公・ヘイズとファンメイが遂に交わる!な今巻。
悪魔使い」に「天使」、「出来そこないの魔法士」に「龍使い」、これらに新登場の「人形使い」エドも加わって、
なんかもう、凄まじいまでの能力バトルを展開してくれちゃってるぜ。

今巻に来てさらに魔法士の設定が生きてきてるし、
一長一短な能力によるじゃんけんのような関係は、すげぇ上手く出来てるなって感心してしまった。

全能力中最強であろう同調能力を有する天使でも、龍使いだけには全く歯が立たなかったり、
その龍使い人形使いの万能性には遠く及ばないし、その人形使い騎士に対して圧倒的に弱い。
さらにその騎士に対する切り札として作られたのが龍使い
そしてそれら様々な魔法士の中で最弱であり最強である存在の元型なる悪魔使い

能力の説明に矛盾を感じたこともなかったわけではないが
そんなことは気にならないくらい、これら能力設定は巧妙に仕組まれていて面白い。

今回もボスはデカい。しかもまた地球が壊れるか否かっていう規模のデカさだし。
まあそれでいて主人公たちのみが活躍するという展開に違和感がないのは凄いと思うが。
なんつーか、著者は話デカくしないと気が済まない性質なのかねw ラストを対人で締める気はまるでないな。

前回と比べてキャラ関連は良かった。
ムカついたけど、すぐにムカつかなくなったフィアには特に好印象。
他キャラの個性も分かりやすくて良かった。

物語は核心に向かって少し動き出したという感じ。というか3巻までは単にキャラの下準備だったんだなw
まだ魔法士の種類増えるっぽいし、これからの設定描写に激しく期待。


5巻上下
Amazonは言葉にしたくても出来ない俺の感想を的確に表現してくれているなぁ、と同時に
俺ってやっぱ文章表現力ないんだなぁと痛感する今日この頃。

今までも多少なりの描写はあったのだが、この作品ってのは自分自身の正義みたいなのがキャラの根底にある。
何に代えても守りたいものがある。世界を敵に回しても。自身の罪を認めそれでも前に突き進む。みたいなやつ。
その信念を貫く生き様はなるほど、ある側面ではカッコよくみえるだろう。
だがこの独りよがりの考えが客観としての読者から共感を得られるかというとそんなことはないわけで。

その要素が今巻はやたら強いんだわ。
新登場キャラのサクラなんかまあまあなツンデレなのに、このせいでムカつくのなんのって。

著者の三枝氏もねえ、多少は自覚してると思うんだよ。
実際作中で「大人」に該当するだろうヘイズや祐一はそこまでぶっ飛んでないし。
ああ、逆に言うと「子供」かつ人間らしいマトモな環境で育てなかったサクラやディーはイカれてるのか。
これは三枝氏、確信犯ですかね。敢えてそういう未熟さを描こうとしてるのか。

でもそのおかげで作品全体として見てもまるで楽しむことが出来なくなってるのは問題でしょ。
作品がその信念を軸として進んでいくから、それに付随する人物やストーリーも俺には色あせてきている。

ちくしょー、9Sに次ぐ能力バトルラノベだったのになぁ…。
テーマがムカつきすぎるせいで、もう能力がどうとかで純粋に楽しめなくなったよ_| ̄|○